めまいは回転感とか浮動感(ふわふわ感)とか表現されますが、基本的には空間認知障害という感覚です。
つまり、目や内耳などの感覚器から脳に伝えられる自分の周囲の空間や動きに関する情報が、自分の過去の経験や記憶と矛盾するとき、脳が混乱し自分がどこにいるのかわからなくなる感覚が空間認知障害の伴うめまい感です。
従って、誰しも病的な感覚ではなく、誰でも感じる生理的なめまい感もあります。
動揺症(乗り物酔い)と高所恐怖症は代表的な生理的めまい感です。
むかし、ヒッチコックの「めまい」という映画がありましたが、これは高所恐怖症の話でした。
地上で生活している我々は、足元より下に空間があることも経験がないので空間認知障害が起こり高所恐怖症を感じます。
しかし、高所で毎日働いているとび職の方は感じません。アイススケートの選手がめまいを感じないのも同じ理由です。
乗り物酔いの場合は、地上で生活している我々の脳は地面は静止しているものと思いこんでいます。
自分が止まっているのに周囲が上下に動揺することは日常経験なく、空間認知が混乱しめまい感を感じます。
前後にだけゆれる新幹線より、前後左右にゆれる紀勢線が、さらに上下にもゆれる大型バスや船舶でもっと乗り物酔いがひどいのはそのため。
宇宙で重力がなくなると上下方向そのものがわからなくなり宇宙酔いを感じます。
このような感覚も学習することによって感じなくなります。
漁師が船酔いを感じないのも、脳が環境も動くものだと知っているからです。
このように経験がないことで起こるのが生理的めまいです。
恐怖性頭位性めまいはドイツでは確立された病気ですが、生理的な機序で説明できます。