舌下免疫療法
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記事監修者
医療法人華風会 理事長 久保 伸夫
■日本耳鼻咽喉科学会専門医
■日本アレルギー学会専門医
関西医科大学卒業後、ウェイクフォレスト大学、バーバード大学に留学。
現在は、関西医科大学耳鼻咽喉科助教授、関西医科大学男山病院教授、大阪歯科大学耳鼻咽喉科准教授を歴任。耳鼻科手術、アレルギー疾患のエキスパート。鼻呼吸の研究も行い、立体マスクの開発や呼気ガスの成分測定・分析を行う。その経験から水素ガス吸入の効果と有効性を検討し、水素ガス吸入の啓蒙に努める。
舌下免疫療法とは
花粉症のつらい症状「鼻水」「鼻づまり」「くしゃみ」から卒業しませんか!?

舌下免疫療法(SLIT:SubLingual Immuno Therapy)とは、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体内に取り入れることにより、徐々に体の中でアレルゲンへの免疫力を高める治療法「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」の1つです。
以前、アレルゲン免疫療法(減感作療法)は、皮下免疫療法という低濃度のアレルゲンを注射する方法が主流でしたが、通院回数が頻回なことや人によっては重篤なアナフィラキシーが起こる問題がありました。それに対して舌下免疫療法は、毎日舌の下で錠剤を一定時間保持してから飲み込みます。
定期的な通院は必要になりますが、通院回数が少なく(月1回)、簡便かつ安全に自宅で治療を継続できるというメリットがあります。
正しく治療を継続することによって、アレルギー症状の改善、軽減が期待できます。
舌下免疫療法の対象疾患
舌下免疫療法は、スギ花粉症またはダニのアレルギー性鼻炎と確定診断された方が治療の対象となります。
スギとダニの両方に当てはまる場合、患者様の症状、治療開始時期などを総合的に判断し、間隔をずらすことによって並行して治療を進めることが可能です。
また安全に治療を実施するため、スギ花粉の場合は、スギ花粉が飛散している時期、飛散する時期の前後を避けて治療を行います。
6月〜11月下旬までが治療開始時期に好ましいです。
ダニアレルギー性鼻炎については、年中いつでも治療を始めることができます。

スギ花粉症

ダニによるアレルギー性鼻炎
舌下免疫療法の治療対象者
対象者
☑︎スギ花粉症と診断された方
☑︎ダニによるアレルギー性鼻炎と診断された方
☑︎成人もしくは5歳以上の小児
治療を受けられない方
☑︎重症気管支喘息の方
☑︎ 65歳以上の方
☑︎妊娠・授乳中の方
☑︎自己免疫疾患のある方
☑︎免疫不全の方
☑︎長期にわたってステロイド薬を内服されいている方
メリット・デメリット
メリット
☑︎ご自宅で治療を継続できる
☑︎根治治療またはアレルギー症状の軽減が期待できる
☑︎保険適用で治療を受けられる
デメリット
☑︎長期間継続的な治療が必要(3年〜5年程度)
☑︎ スギ花粉の場合、治療開始時期が限定される(6月から11月の間が好ましい)
舌下免疫療法の注意点
☑︎口の中のかゆみ・腫れ・不快感・刺激感
☑︎のどのかゆみ・腫れ・不快感・刺激感
☑︎口内炎
☑︎耳のかゆみ
☑︎頭痛
など
舌下免疫療法では、微量のアレルゲンを取り込みながら徐々に免疫力を獲得していく治療ですので、重篤な副作用が起きる可能性は極めて低いですが0ではありません。医薬品などに対する過剰反応などによる起きるアナフィラキシーなどの重大な副作用についても念頭に入れておきましょう。舌下免疫療法による詳しい注意点や副作用が起きた場合の対処法などについては医師にご確認ください。
治療の流れ
STEP1:初回診察
初診時に患者様のお悩みの症状が舌下免疫療法の適応となるか調べます。
(スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎のみが治療適応となるため、また場合によっては持病などの関係から治療が難しいと判断することがあるため)
鼻の診察、アレルギー血液検査が必要です。
すでにアレルギー血液検の査結果があり、適応があるとわかっている場合には、試験投与のお日にちを決めます。
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STEP2:検査結果のご報告(検査結果がない方のみ)
初診時に舌下免疫療法の適応の有無が判明していない方には、2回目の受診時に初回時のアレルギー検査の結果をご説明させて頂きます。
適応があった場合には、舌下免疫療法の説明をさせていただき、治療に進むか否かをご選択いただきます。
治療を進める場合は、試験投与のお日にちを決めます。
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STEP3:舌下免疫療法の治療開始(試験投与)
初回の治療は院内で受けていただき、30分ほど経過観察を行います。
ご自身のアレルゲンの原因物質を投与しますので少なからず症状が出ます。
30分経過して問題なければ、ご帰宅いただき翌日からご自宅で治療を継続して頂きます。
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STEP4:経過観察(治療開始2週間後)
治療開始2週間後の診察で、服用状況や手順に問題ないか、副作用はないかなどの確認を行います。
ご自宅で治療を継続する上で少なからず、症状が出るため、途中で治療の継続に嫌気を感じてしまうこともありますが、ここでの継続力が治療のポイントになります。
治療を継続できるようにサポートをさせて頂き、問題なければ薬を継続して処方します。
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STEP5:定期検診(治療開始一ヶ月目以降)
治療が習慣化されましたら、その後は月1回の定期検診の受診のみで大丈夫です。
効果や服用状況、副作用についての確認を行い、治療を3~5年継続します。
費用
舌下免疫療法は保険適用の治療となります。
3割負担の場合、初診は検査などを含めて4,000円〜5,000円となります。
その後の定期通院では、クリニックでの診療費と薬局で処方される薬代を合わせて2,000円〜3,000円が目安となります。
診療時間・アクセス
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
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10:00〜13:00 | ● | ● | ● | 休 | ● | ▲ | 休 |
15:00〜18:30 | ● | ● | ▲ | 休 | ● | 休 | 休 |
●:耳鼻咽喉科・アレルギー科・皮膚科
▲:耳鼻咽喉科・アレルギー科(皮膚科は休診)
休診日:木曜・日曜・祝日
※初診受付は各受付時間終了の30分前までにご来院下さい。
※皮膚科の午後診療は16:30からです

■住所
〒541-0043
大阪市中央区高麗橋1丁目7番3号 The Kitahama PLAZA 3F
■アクセス
・京阪本線「北浜」駅徒歩3分
・地下鉄鉄堺筋線「北浜」駅南改札口4番出口直結
・大阪メトロ御堂筋線11番出口徒歩5分
・阪神高速道路1号線環状線本町出口約500m