記事監修者
医療法人華風会 理事長 久保 伸夫


■日本耳鼻咽喉科学会専門医
■日本アレルギー学会専門医
関西医科大学卒業後、ウェイクフォレスト大学、バーバード大学に留学。
現在は、関西医科大学耳鼻咽喉科助教授、関西医科大学男山病院教授、大阪歯科大学耳鼻咽喉科准教授を歴任。耳鼻科手術、アレルギー疾患のエキスパート。鼻呼吸の研究も行い、立体マスクの開発や呼気ガスの成分測定・分析を行う。その経験から水素ガス吸入の効果と有効性を検討し、水素ガス吸入の啓蒙に努める。

中耳ってどこ?

耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分から成り立っています。

「中耳」は、「外耳」と「内耳」の間に位置し、ちょうど鼓膜が外耳と内耳を隔てるように存在します。
主に鼓膜と鼓室で構成され、鼓室には鼓膜と内耳を結ぶ連結した3つの小さな骨(耳小骨:ツチ骨、アブミ骨、キヌタ骨)があります。

中耳の役割の一つは、音を増幅させて内耳へ伝えることであり、鼓膜に接している耳小骨を経由して内耳にある蝸牛に音を伝達します。また必要以上に過剰な振動が伝わらないように抑制する働きも持ちます。

中耳炎とは

中耳炎の症状

中耳炎とは、中耳に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こしている状態です。
中耳炎では、「耳が痛い」、「耳漏(耳垂れ)」、「聞こえづらい」などの症状が代表的です。

中耳炎には幾つか種類があり、中でも小さいお子さまが起こす「急性中耳炎」が最も一般的です。それ以外にも「滲出性中耳炎」、「慢性中耳炎」、気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎などの合併症として発症し、治りづらい「好酸球性中耳炎」などがあります。

また中耳炎はお子さまに多い病気として知られ、生後半年から2歳頃までが好発年齢とされます。
2歳を過ぎると罹患率は下がりますが、小学校低学年までに6~7割くらいのお子様が一度はかかると言われています。

急性中耳炎

急性中耳炎は、風邪をひいた際など鼻や喉の炎症に続いて起こるケースが多く、痛みや熱、耳漏(耳垂れ)などの症状が現れます。
特に子どもにみられることが多いです。これは、子どもは大人と比較すると耳管(耳と鼻をつなぐ管)が短くて太いことと咽頭までの傾斜が水平に近く、ウイルスや細菌が侵入しやすいためです。
特に乳児期の場合には、異常を上手く訴えることができないため、保護者の方は注意が必要です。

症状

疼くような耳の痛み、耳垂れ(耳漏)、聞こえにくくなる、発熱などの症状があります。
また、正常な鼓膜に対して赤く腫れ上がるのが特徴です。

原因

病原体(ウイルス、細菌など)が鼻やのどから耳管を通って中耳に入り込み、炎症を起こします。

治療

原因となっている細菌感染を解消する必要があります。基本的には抗生剤や痛み止めの処方、鼓膜の腫れがひどい、痛みが強い、高熱が続くなどの重症の場合は鼓膜切開により、耳に溜まっている膿を排出することにより、迅速に熱や痛みを軽減させます。
切開した鼓膜は約1週間ほどで元に戻ります。

滲出性中耳炎

鼓膜の奥にあたる中耳に滲出液という液体が溜まっている状態のことです。
急性中耳炎とは異なり、痛みを伴わないため、気付きにくいのが特徴です。
子どもの難聴の原因として最も多く、慢性化すると治りにくくなるため、注意が必要となります。

症状

急性中耳炎と違い、痛みや発熱などの症状はなく、難聴や耳閉感などの症状があります。
難聴の程度について軽い場合が多く、症状を自覚しにくく、受診が遅れてしまうことも少なくありません。

原因

鼓膜の奥に中耳腔に滲出液が溜まることによって炎症が起こる病気です。
急性中耳炎の後、滲出液が中耳に残ったままになって炎症を起こして滲出性中耳炎を発症することが多いです。
また稀ですが、アデノイド(鼻の奥の咽頭扁桃)が肥大することにより、引き起こされる場合もあります。

治療

症状がひどくない場合は、原因となっている疾患、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、咽頭炎の治療を行いながら、経過を観察します。
改善が見られない場合、滲出液を排出するために鼓膜切開を行います。
鼓膜切開術でも改善しない、滲出性中耳炎を繰り返し発症する場合は、鼓膜チューブ挿入術により、中耳から膿、滲出液を排出させるための小さなチューブを鼓膜に設置し、数か月から2年留置します。

慢性中耳炎

急性中耳炎や滲出性中耳炎が慢性化した状態の中耳炎です。
鼓膜に穴が空いた状態が継続し、耳漏(耳垂れ)を繰り返します。
慢性中耳炎では、聴力に関与する鼓膜や耳小骨に異常が生じるため、抗生物質の内服や点耳薬に加え、手術による外科処置の治療が必要となります。

症状

慢性中耳炎
急性中耳炎などで鼓膜に空いた穴が塞がらず、耳垂れを繰り返してしまう病気です。

真珠腫性中耳炎
鼓膜の一部が中耳に侵入し、デブリ(真珠腫塊)を形成する病気です。進行するとめまいや耳鳴り、顔面神経麻痺などの症状を起こします。

治療

耳垂れを止めるため、抗生物質や点耳薬の使用により、治療を行います。
ただし空いた鼓膜の穴は自然に戻らないため、鼓膜の穴を塞ぐ根本的な治療には手術が必要となります。
鼓膜に空いた穴が小さければ、鼓膜形成術での対応が可能です。

診療時間・アクセス

診療時間 日・祝
10:00〜13:00
15:00〜18:30

:耳鼻咽喉科・アレルギー科・皮膚科
:耳鼻咽喉科・アレルギー科(皮膚科は休診)
休診日:木曜・日曜・祝日

※初診受付は各受付時間終了の30分前までにご来院下さい。
※皮膚科の午後診療は16:30からです

アクセス・北浜駅直結

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大阪市中央区高麗橋1丁目7番3号 The Kitahama PLAZA 3F

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